明日取り壊す家を
撮影しました

動物好きの老ガードマンの話

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取り壊す前の家
明日取り壊す家の事
 明日38年の歴史を閉じる家の写真を撮りました。この建物には20歳から現在までの超個人的な歴史が刻み込まれています。来年の4月になると此処にはカナダの木材を使った息子夫婦のログハウスが建っている事でしょう。人は目に見えない形で家から影響を受けているのかもしれないと思うようになりました。犬の散歩中にそんな意識を持って近所の家を観察していると、「なるほどな〜」と色々な事が読み取れます。他より一段高くなった四畳半があって、此処だけ湿気で床がブカブカになっていない気持ちの良い部屋なのですがたまゆらが写っています。今度建つログハウスは床下が1mもあるので湿気る事はないでしょう。
動物が好きな老ガードマン
 下水道工事がいたるところで始まって、市バスが従来のルートを走れなくなったので家の近くに仮のバス停ができました。国道との出入口が点滅信号で危険なのでガードマンが立つ事になりました。朝から夕方までは若い人で、夕方から終バスまでは年配の人に代わります。バスは30分から一時間の間隔で来るので殆どが待ち時間になります。近くにシルバー用共同作業所のプレハブが建っていて、その軒下で本を読んだりタバコを喫って時間をつぶしています。そのプレハブはいつも閉まっていて、作業をしているのを見た事はありません。

 作業所の裏が広い草原になっていて、犬の散歩中にウンコをさせる最後のポイントになっています。数ヶ月前に犬に引っ張られて草原に入ろうとすると、立小便を済ませて出てくる老ガードマンと鉢合わせしました。
 二匹の犬達は少し驚いた様子でしたが吠える事もなく、老ガードマンもニコニコしながら「可愛い犬ですね」と我が家の小汚い雑種を誉めてくれました。それからは顔を合わせたら挨拶するようになりました。

 その草原の隅っこには古い柿の木が一本あって、毎年渋柿がたわわに実ります。今年初めて手の届く枝にも数個なって、暫くすると一個が真赤に熟してきたので験しに食べてみると物凄く甘くて美味しいのです。熟す度に一個ずつ食べていましたが手の届くものが無くなって、上から次々に落ちてくるようになりました。土の上でグシャリと潰れているので食べられませんが、犬が甘いのを知って夢中で食べるようになりました。

 先日も二匹が食べている時に老ガードマンが立小便をする為に入ってきて「柿の木の下に石が二つ並んでますやろ、その下に猫の屍骸を埋めたんですわ」と左手はチンコを支えて右手で石を指差されました。
 「可哀想に道で車に轢かれて此処まで這って来て死んだみたいです」「こんなに深こう掘ったんですわ」と小便を済ませたので両手で深さを示されます。

 実は夏前に草ぼうぼうの中でその猫が死んでいるのは知っていました。我が家の黒い猫とそっくりだったので慌てて家に帰って妻に聞いてみると「さっき餌を食べていたよ」と言う返事でホッと胸を撫で下ろしました。
 それから暫くは犬が猫の屍骸に関心を持たないように、その草原には入らないようにしているうちに草が枯れて柿が実り始めた訳です。猫は骨になって消えてしまったものだと思い込んでいました。

 犬がお墓にウンコをかけないように、それとなく声を掛けられたようです。それにしてもスコップも無しにどうして掘られたのか分かりませんが、かなりの時間が掛かった事と思います。見ず知らずの猫を埋葬する為に薄暗い中でモクモクと作業をされた行為に思わず頭が下がりました。目立つボランティアを大勢で嬉々としてする人達よりも、この老ガードマンの行為の方が尊いように思えるのはへそ曲がりでしょうか。

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