コンピューター戦士の休養

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ベッドでパソコンを開く
入院中のベッドにて
深夜の喫煙室で
手術後の投薬で肝臓のGTP値が上がっているので太い注射を 2本も打たれています。注射は午前中に1回で一週間続くらしい のですが何故か夜に目が冴えてしまうのです。三日目も寝付けなくて喫煙室に行くと40代前半の内科の患者さんがタバコを燻らせていました。何で入院されているのですかと聞くと十二指腸潰瘍との事。その間にもう一人患者さんが入ってきて、 何時も見かける70代前半の肝臓疾患の男性です。

コンピューター戦士だった
十二指腸潰瘍になったのは何か原因があったのですか?と聞くと 「仕事のストレスですな」と言うので、どんなストレスですか?と追い 討ちをかけたところ「マイクロソフトに腹が立つ、インテルに腹が立つ、 NECに腹が立つ」と一気にまくし立てはじめました。何でも建設会社のコンピューター担当で、20年前にも一度入院して二度目との事。NECのPC-98(OSはMS-DOS)で工程管理表や行政への提出書類のデーターがやっと構築できたと思ったら 突然 ウィンドウズに変わって全部やり直さなければならない。 文章はATOK(一太郎)で表関係はロータスなので全く使えない。

話に加わってきた老人も
コンピューターエリート

「お宅らが使ってはるパソコンの記憶容量はなんギガぐらいです?」 ノートが20ギガでディスクトップが80ギガと答えると「昔は20メガ ぐらいしか無かったのですわ」と老人は語り始めました。「印刷会社に勤めていた時に、編集のコンピューター化が始まったのが今から 20年前で52歳の時です」仕事内容がもろに関わる分野だったので 年齢は高かったが導入時からコンピューターを触り始めた。コンピュ ーターとスキャナーとプリンターを揃えたら当時で1000万円した。インクジェットプリンターも故障が多くてカラー毎のノズルを一個交換する のに50万円かかった・・・等と今では考えられないような話が続きます。

コンピュター編集の
コンテストで銀賞を

 「電話帳ぐらい厚みの有るマニュアルが4冊あって毎日必死で勉強 しました」周りに聞ける人も居ないし全部自分で覚えるしかしょうがないのです。白抜きなんかの飾り文字は文字毎に一から創っていったのですよと今では考えられない努力を積み重ねていって、或る時コンピュ ーターで編集した文面のコンテストに応募したら銀賞に入りました。 「ところが今見たらレベルが低くて人には見せられませんわ・・・」

状況が一変したのは
マックの登場

「印刷業界にマックが登場して、今まで苦労して身に付けた技術がパーになりました」入りたての社員がしばらく触ったら、すぐにきれいな編集ができますのや。それから定年までの数年間で体調を崩されたようですが、さすがに厚顔な当方もそれ以上の質問はできません でした。真面目に取り組んだ人ほど、苦労して築き上げた何かが外的な要因で水泡と帰した時に心身のバランスを崩すのかもしれません。面白かったのは、老人の方が今のパソコンには触る気も有りませんわと言っているのに対して40歳代は、こんなにヒマがあるのやったらノートパソコンを持ち込んでデーターを入れ直したら 良かったとまだ現役の戦士を感じさせた事です。こんなに気楽に入院レポートを書いている影には、心身ともに疲れきったコンピュー ター戦士が居る事を知りました。

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