サイバーリーディング
植原紘治先生講演会

虎ノ門教育会館
1999年4月29日

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話をする植原先生
 例えば、四国に小さな学習塾があります。 そこの塾を経営していらっしやる方も、私のルン・ルの会員さんです。 もうそれこそ、四国一というよりも、全国でも指折りの英語の達人と言ってもいいと思います。 やっていることは、ものすごく緻密できちんとした授業でした。生徒達の評判もよかった。 しかも、そこから旅立って大学に行くときには、びっくり仰天するような大学に次々に 合格していきます。やっているのは英語しか教えていません。英語1科目ですね。 その方が、私の会に入って参りまして、生徒さんと接する接し方、英語を教えるときには どういうふうに伝えて行ったらいいかということに対して、かなりの変化が起こってきたそうです。 今まで懇切丁寧に教えていた。その懇切丁寧に教えるということを手放しました。

教えない。
ある一つの10年ほど掛けて自分の研究成果をまとめた1冊の冊子ですね。 大体100ページ位にまとめてあります。冊子を生徒に渡して、そこに自分の伝えたいことは 全て書いてありますから、生徒達にそれを使わせているだけです。 必要があれば、その冊子を開いて、何ページの何行目にこういうことが書いてあるということ だけは生徒に伝えますが、細かい説明というのはほとんどしません。 生徒達はその冊子を手にして、最初は真面目ですから、そこに書いてあることを覚えようとします。 それこそ並みいる受験の参考書が束になってかかってきてもかなわないようなすばらしい内容です。 その1冊をやっておくだけで英語は完璧になる、と言っても過言ではないほどうまくできています。 ですから、生徒はそれを手にしたときに嬉しくなって、それを逐一暗記しようとしたり、 書き写そうとしたりしますが、ほとんど数ページで挫折します。

そんな無駄なことをしてもしょうがないということが分かる。 だから何をするかと言いますと、ちょっとよろしいですか。 この大体A4版の冊子、これの5、6倍の厚さですかね、それをこういう本と同じように、 パラパラ、パラパラと眺めていくだけです。飽きもせず、パラパラ、パラパラ、 読んでいる訳ではないですね。細かい内容などというものを理解するのではなくて、 眺めているだけで、ほんの数ヶ月もしますと、英語の力はもちろんのこと、 全ての学科で驚くほどの成果をあげるようになります。 大体、四国ですから、その方の塾のいわゆる得点の順番、全国の模擬試験を受けたとしますと、 そこの塾で集計してみて、その塾の順番が四国の順番です。塾でトップならば四国でトップ、 2番ならば四国で2番。その塾でトップだとすると、大体全国でもトップです。 かといって特別な授業をするわけでもなんでもないんです。

授業をするのではなくて、 たった1冊その冊子を眺めるともなく眺める。それこそびっしり、老眼の人なんか読めないような 細かい字がぎっしり詰まっています。それをただこうやってパラパラと眺めているだけなんです。 その生徒達の凄まじさは、その冊子がボロボロになってしまう。 明けても暮れてもただこうやってパラパラとやっているだけ。 内容をそれによって汲み取ろうとしたり、理解しようとするのではなく、ただパラパラやって 眺めているだけで、先ほど言いましたように、この本の中から宇宙が立ち現れてくるんです。

それはそこに書いてある、文字としての情報だけではなくて、その塾長さんが数十年かかって 培ってきたものが中に詰まっています。それと同時に、その塾長さんが知らない英語の宇宙、 さらにその英語から発していく、もっともっと広いものに触れることができるんですね。 しかし、ではどうして英語だけしかやっていないのに、数学までできるようになるのか。 それは当たり前のことです。英語というのはものすごく論理的な言葉ですから、 英語ができるようになるということは、論理的な意識の働きが加速されていきます。

数学についても、何もしなくてもちゃんとできるようになる。 数学ができるようになるということは、理科だって同じです。 では、国語、日本語は論理的ではないのかというと、ちゃんと日本人は日本人の論理を 持っていますから、日本人的な論理の働かせ方も得意になっていく。 社会科、日本史とか世界史とかですね、倫理、政治、そういうものも、私たちの論理的な 頭の働きの中に入ってしまいますから、いとも簡単にその能力は拡大していってしまうんです。

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