猫殺しの手順 小学3、4年生の頃に猫を殺しました、それも一匹や二匹ではありません。はっきりは覚えていませんが、5匹以上だったように思います。やり口は、そのころ沢山いた野良猫を可愛がるふりをしておびき寄せ、近付いてきたらいきなり首に紐を巻きつけます。周りに小さい子供達が集まってきて、十分にギャラリーが揃ったところで紐の端を 持ってハンマー投げの要領でグルグル振り回します。実施場所は決まっていました、駅の裏にある直径15mぐらいの池のほとりです。 こちらも猫も目が回ってフラフラになったところで、紐をつけたまま池の中央まで振り飛ばします。目が回っていても、いきなり水に放り込まれた猫は必死で岸に向かって泳ぎ始めます。そこで小さなギャラリーたちに声をかけて、手に手に石を持つように指示し池の周りに並ばせ、猫が岸にたどり着けないようにぶつけさせます。時々命中する石の痛さに別の方向に逃げようとしますが、次第に弱っていき数分後に水面から姿が見えなくなります。プクプクと小さな泡があがったら、このイベントは終わります。 野球に興味が無い理由何故こんな酷い事をしていたのか、当時の心理状態を推し量ることはできません。中国からの引揚者として、親子ともども「いいかっこして飛び出して、何もかも失った馬鹿者」というレッテルを田舎社会では露骨に貼り付けます。放課後の野球に誘われることも無く、どうしてもメンバーが足りずに呼ばれた時には馴れていないために三振ばかりして皆の嘲笑の的になります。(今でもプロ野球には全く関心が有りません) 父親がハルピンで戦病死したと言う知らせを受け取ったあと、商売を始めた母は独り息子の将来のために朝から晩まで家を出て働きました。N HKの連ドラ「なずな」ではありませんが、当時の社会情勢では田舎社会における異端分子の排除は、大人も子供も今よりはるかに露骨です。 そんな状況の中でやり場の無い不満を、自分より弱いものにぶつけていたのでしょう。 今は猫と共に生活しています さらにカルマの法則は追い討ちをかけます。社員旅行に行くため朝早く駅に着くと、 信じられない人物が立っていました。小学生のころ唯一苛めていた同級生がいました、そのSが白髪になって顔には深い しわが刻まれて老人のようになってホームの真中にいるのです。たぶん、こちらのことを認識するだろうと思って「ヤアッ」と笑顔で声をかけました。 物凄く複雑な顔をして「オッ」と彼は頷き返しました。続けてしゃべることも無くそれっきりでしたが、猫殺しの事を書こうと思いついた途端にこんな出来事が起こるのです。 ※この文章を書いて暫く経って、駅で会ったSの奥さんが自殺しました。 それから数年後にSは50歳代で病死しました。 |