ルンルの会
環状列石
(ストーンサークル)

1999年9月

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ストーンサークル
 盆前の8日間をかけて妻と二人、京都から小樽まで片道2000kmを越えるドライブ に出かけました。目的は前回「磐座の働き」でレポートした、日本列島を貫いて仕掛けられたエネルギーラインを確認する為です。
  と言うのは真っ赤な嘘で、単なる温泉旅行です。いきあたりばったりで決めたコースの途中にストーンサークルを見つけて何箇所か立ち寄りました。ドライブマップや「るるぶ」に掲載されている場合もあれば、案内標識で見付た所も有ります。  

 その中で、環境の浄化や活性化に何等かの働きを示していると思われる例を、2つ紹介します。 まず東北自動車道「松尾八幡平IC」を下りて、八幡平アスピーテラインに入る手前の柏台と言う町の外れに、塀も柵もない「さくら公園」がひっそりと有ります。 短パン姿でマイカーを洗っている駐在署のお巡りさん夫婦に聞いて「松尾村・大環状列石」が公園の中にある事を知りました。古代の遺跡を綿密に調査し、同じ場所に正確に復元したと言う事で、手入れの行き届いた広い芝生の中に実に良い感じでそれはありました。  

 そんな事をしても良いのかどうか分かりませんが、二重になったサークルの中央に座って見上げた八幡平の山波は本当に素敵でした。他に入園者の姿は無く、管理棟にも人影はありません。うーん、この気持ち良さは何じゃろうとすっかりリラックスして暫く動けなくなりました。その場でぐるりと周りを見渡すと、ストーンサークルの背後を囲むように細長い池が有ります。立ち上がって中を覗きこんだ途端、二人同時に「うわー」と感嘆の声を上げました。 NHKの連続ドラマ「すずらん」で神秘の泉が出てきますが、こんなだったのかも知れないと思いました。水はあくまで澄み切っていて、水中の水草に温泉の成分が付着しているのか、実に複雑な色彩のコントラストが人為を越えた芸術作品を創り出しています。

  スペインにあるガウディの構造物が、水の中で林立している状態を思い浮かべれば近いかもしれません。ここでは、調和と浄化のエネルギーが働いていることをはっきり感じることが出来ました。国道5号線を余市側から小樽に入る途中に蘭島と言う半島があり先端は竜ケ岬です。蘭島の付け根にある町が忍路で、日本最大のストーンサークル「忍路環状列石」が有ります。 忍路は「オショロ」と読みます、たぶんアイヌの言葉でしょう。函館を昼2時に出たのに国道は工事 だらけで、忍路にたどり着いたのは夜の7時になってしまいました。    

 地図で見る限り環状列石は町のすぐ近くに有るはずなので、町の人に次々と聞くのですが知らないと言います。不安になり始めて5人目に声をかけた魚屋の若い兄ちゃんが、たしか小学校の近くにそんな物が有ったような気がすると始めて情報をくれました。 道順を聞いて小学校にたどり着くと、道路に面した校門の真向いに、小さな看板と進入路を見つけました。

  細い道を山に向かって登って行きましたが、それらしいものはいっこうに見あたりません。 20分近くうろうろして、どんどん暗くなってくるし、シティホテルに連絡したチェックインの時間は迫ってきます。これは「来るな!」と言う事だろうかと、訳の分からない事を喋りながら山を下って行くと、ライトの光の中に野良着姿のお婆さんが浮かび上がりました。大環状列石と尋ねた途端にお婆さんはニコニコしながら、こんな所まで良く尋ねて来てくれ たと、こちらが戸惑うほどの好意的な反応です。

 数年前迄は出土品の展示館もあり、考古学好きの老人が管理していたが亡くなってから閉館されたと、申し訳なさそうに言われます。懇切丁寧に道順を教えて貰い、全く的外れの場所をうろ付いていた事も分かりました。心からお礼を言って、少し先の広くなった場所で車をターンさせて走り出すと、お婆さんがまだ立っていて、ニコニコしながら手まねきしています。車を止めると手に提げていた収穫カゴの中から大きなまくわ瓜を掴みだして、次々に3個手渡してくださいました。再度お礼を言って窓を閉め切ると、車内は健康な夏の果物の匂いで一杯になりました。  

 教えて貰ったとおり、ストーンサークルには7〜8分で着きました。訪れる人が少ないのか雑草の生えた駐車スペースに車を止め、白い看板が暗闇の中にボーと浮かんでいるのを頼りに近付きました。ところが説明板以外は真っ暗で、電池が弱りかけた懐中電灯の光では日本最大と言われる規模を把握する事は出来ません。少し気がとがめましたが仕切りの鎖をまたいで中に入り、中央のサークルの中に座って記念写真を撮りました。妻は気持ちが悪いから入らない方が良いと言いますが、これだけ苦労してたどり着いたのだから許して貰えるかなと勝手に判断しました。

   次の朝小樽から舞鶴に向かうフェリー乗り場で、疲れたので2等でゴロ寝は厭だと言う妻の意見を尊重して一等を頼むと、満席で4人部屋を貸し切って貰うしかないと言われました。 どうしょうと迷っていると、「特等も費用は変わりませんよ」と言うアドバイスで、生まれて始めて豪華な船旅を経験しました。 少し機嫌が悪くなり始めていた妻も、32時間の優雅な船旅(レンタルビデオ三昧)の間にすっかり元気になりました。帰ってからも良い事ばかり起こりますので、ストーンサークルの聖域に土足で踏み込んだ罰は受けませんでした。

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