ルンルの会
天狗の下駄
1999年9月

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一本足の下駄
 福島県の喜多方で一本脚の下駄を購入しました。ラーメンを食べた後で、町をぶらついていて偶然見つけました。桐下駄の専門店で、製造・展示・販売を一部屋でこなしているこじんまりしたお店です。総桐の履き易そうな下駄はどれも二千円ちょっとで、訳の分からない素材で 海外生産された物でも二千円近くするので、安いと感じました。  

 妻が娘の土産用にとおしゃれな下駄をあれこれ選んでいる間に、ガラスのショウケースの中にそれを見つけました。存在感がまるで違います。漫画で見て存在は知っていましたが、本物は始めてです。このチャンスは逃せません、少々高くても買おうと決心しました。見せて欲しいと言うと「これは姿勢が良くなるし、健康に役立ちますよ」と落ち着いた感じの奥さんが、大切なものを扱うように手渡してくれました。少し緊張して値段を聞くと、四千五百円でした。

 赤い鼻緒の下駄2足と天狗下駄とを包み終ると、奥さんはお茶と梅の砂糖漬けをご馳走して下さいました。梅干しとは違い、カリカリと音を立てて食べるほのかに甘い梅の漬物は初めてですが、実に爽やかで美味しいものでした。その間にお母さんらしい方も出てこられて、お喋り好きの東北人まるだしで、桐や下駄についての話を色々してくださいました。旅行中に足首を捻挫しても困るので、道を歩くのは帰るまで我慢しました。  

 こけまくり、打ち身、捻挫を乗り越えて歩けるようになるぞという決心は、一歩踏みだした瞬間に完全に覆さ れました。すぐに歩けるし自然に身体の力が抜けて、歩くほどに気持ち 良くなります。 これは武道家で天才の研究学者、高岡英雄さんの「ゆる」の世界だと気が付きました。練習もせずこんなに容易に歩くことができるのは、もしかしたら隠れ天才なのかも?
 しかし自慢しないでおこう、能ある鷹は爪隠す、慢心は魂の成長を妨げる等と裏返しの尊大さは一ヶ月半でこけました。

  ある日大勢人が集まるところに天狗下駄を提げて行きました。 コロコロこける人と、最初から歩ける人がどれぐらいの割合になるか知りたかったのです。 答えはもうお分かりでしょうが、誰もこけませんでした。全員が目をキラキラさせて「これは良い、どうしたら手に入るのか」という質問ばかりです。それでは店の住所をお知らせします。手造り品なのですぐに来るかどうかは保証できません。ここ迄書いて初めて名刺を見たら、とんでもない勘違いに気が付きました。思っていたより規模の大きい仕事をされているようです。

桐本場会津産 桐木取・桐甲良・
柾丸太各種・タンス板各種卸商
黒澤桐材店 
〒966ー0000
福島県喜多方市塗物町7749
 電話0241ー22ー0928

※誰もこけなかった人の集まりと言うのは、9月の京都ルン・ルです。

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