入院という非日常
体験と浅田次郎

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3冊の本の表紙
ぽっぽや
 入院する前から「日輪の遺産」を皮切りに浅田次郎の本を読み始めていました。それより一年半ほど前に、映画「鉄道員」(ぽっぽや)をレンタルビデオで観ました。前半は地味な話だなと思いながら、俳優さん達がそれぞれに魅力があるので退屈せずに観ていたのですが、 後半広末涼子が出てきて事の真相が明らかになるあたりから涙がボロボロ流れて止まらなくなりました。次の日まだ観ていない妻に「なかなか良かったのでみるか?」と誘って2日連続で泣きました。

飲み会の雑談中に
 友人達と我が家で飲み会を二ヶ月間隔ぐらいで開催しています。冷蔵庫とタイムドメインスピーカーが置いてあるだけの独立家屋なので飲み物や食べ物を持ち寄って、携帯ガスコンロにかけた寄せ鍋を突ついたりして時間無制限のダラダラ宴会になります。当方はバシャールや神智学等、精神世界系の本ばかりを読み漁る10年を過ごしましたが、友人達は偏らずに面白い本を乱読するタイプで「浅田次郎は面白いね」という話になりました。こちらは「ぽっぽや」の原作者程度の認識しかなかったのですが精神世界系の本にウンザリし始めていましたので良いヒントになりました。

「日輪の遺産」、「蒼穹の昴」上下
 手始めに買ったのが上記の3冊です。日輪の遺産はあっという間に読み終わりましたが、蒼穹は結構時間がかかって、宮部みゆきを間に挟んだりしながらようやく読み終わった所で骨折した次第です。脱臼骨折で足を受けている皿がいくつかに割れているので通院になるまでは、最低一ヶ月は入院するみたいです。「寝ながら読むのにハードカバーは重たいやろ」と妻は文庫本で色々と差し入れてくれました 。

滑稽なほど真面目
 いわゆる精神世界の本と浅田次郎の小説世界は全く逆の構造になっています。子供の時から他人とは違った感覚を持っていたとか、特殊な霊体験をしたとか、宇宙からの啓示を受けたとか、現代科学では解明できない分野を研究をしているとか、一般庶民を超えた位置からご託宣すると言う精神世界系の本に対して、浅田ワールドの登場人物達は泥臭く、カッコ悪く、これしか選択の余地が無いと言う枠の中で必死でもがいています。 「きんぴか」「プリズンホテル」全4巻に出てくる極道達は滑稽なほど真面目に生きています。 入院という非日常的な時間と空間にいきなり放り込まれて監獄(プリズン)はこれに近いのかもしれないとふと思いました。このような状況下で読む浅田次郎は文句無しに楽しくて元気付けられます。

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